影響力の武器〜人はなぜ動かされるのか〜

相手から「イエス」を引き出す可能性を
著しく高めるにはどすればいいか。

要求の仕方を変えるだけで
それが可能になる。

・要求によって得られるメリット
・提案の本質的な
・部分やプレゼンの論旨
も変えること無くそれが可能になる。

変えなければならないのは
どんな順番で伝えるかということ。

要求の内容や、そこから得られるメリット
は同じでも要求の仕方を変えるだけで
成功率は5〜6倍にも跳ね上がる。

職場以外でも隣人や友人や家族が相手でも
あるいは最も手ごわい子どもにさえ有効です。


研修や訓練を受けた人たちの戦略を
数千ほど観察したところ
影響力の大半は6つのカテゴリーに
分類できる。

つまり要求の課程で
6つの原理のいずれかを使えば
相手が承諾してくれる可能性が
著しく高まる。

効果的に影響力を行使するのには
6つの原理を使えばいい。

「イエス」を引き出すのに有効な
その6つの原理とは

1)返報性
2)希少性
3)権威
4)一貫性
5)同調性
6)好意


■6つの原理とは

1)返報性
あらゆる社会で通用するルール
施しを受けた相手に対して
お返しする義務を感じる心理

サービスの中核であり、本質とも言える原理

最初にこちらから提供すれば
相手は将来のサービスに期待し
また戻って来ようとするでしょう
さらにはサービスを受けたことで
あなたに対して義務感を負うことになる
これはサービス業の基本原理

2)希少性
「希少性」は手に入りにくいほど
欲しくなる心理

3)権威
「権威」は正当な権威者の指示や命令に
人々が従う傾向にあるという心理

4)一貫性(コミットメント)
「一貫性」も人々の心理で
公約したことに対して一貫性を保とうとする傾向のこと

5)同調性(コンセンサス)
特定の状況下でいかに振る舞うかを
決定する際に、同じ状況にいる他の人の行動を
参考にするという心理

6)好意
好きな人の要求に応じようとする心理

これらの原理は承諾を引き出すのに
最善なアプローチ



6つの原理はすべての人が有効に活用しているわけではない

影響力を行使する人たちは
3つの分類できる

1)不器用タイプ
2)密輸入タイプ
3)刑事タイプ

彼らの影響力の使い方を見れば
その有効性の違いが浮き彫りになる
さらに倫理観の違いも示してくれる

当然私たちが最も優先すべきことは
倫理観を持つこと

戦略を使ってもいい状況か
見極める必要がある

相手を引き止めたり
付き合いを維持するために
有効な場合にのみ使う

これは倫理観に基づいた行動を意味する

1)不器用タイプ

原理を利用する絶好のチャンスに恵まれながら
それを取りこぼす人

影響力の使い方の原理を知らないか
正しい使い方を知らない人


2)密輸入タイプ

彼らは影響力の原理がもともと存在していないところに
これらを持ち込もうとする人。

そして、この原理と相手の関心を
悪用しようとする

原理を持つ高い効果を利用して
人々の気を引くアプローチ

こうした不誠実なやり方は
短期的には成功しても
より重大な損失をもたらす

取引相手との継続的な信頼関係を
失ってしまう

戦略が効果を発揮するのは
そこに原理が存在する場合のみ

3)刑事タイプ

密輸入タイプは刑事タイプに
影響力を行使する機会を与えることになる

彼らは6つの原理という武器を携えて
あらゆる状況に乗り込んでいく

そこに1つでも原理が存在すると分かれば
それを表面化し、はっきりと分かるように強調する

表面化した原理は相手を誘導するので
それを利用して人々に影響力を与えようとする


【エクササイズ】

今取り上げている6つの影響力の原理を
探し出して表面化させてください

刑事タイプのやり方で6つの原理のどれかを見つけたら
それを表面に持ってきて、全員の利益となるように使ってください



■6つの原理の詳細

1)返報性
あらゆる文化や社会で認められているあるルールがある

誰かに親切にされたりサービスを提供されたら
相手にお返しをする義務があるということ

恩に着ますということばがあるように
そこに含まれる義務感によって
要求に対する承諾を得やすくなる

相手から最大級のお返しを引き出すための
ポイントは?

特別な思いがけないサービスを追加する

これで最大化していく。


恩義を感じる相手には
承諾の義務感が生じるが
これには拡張ルールがある

相手とのやり取りや交渉などにより
譲歩する方法

最初に高いレベルを要求して、もし断られたら
相手への要求レベルに下げればいい

最初のアプローチを変えただけで
要求の内容はまったく同じでも承諾率が変わる

気をつけたいのは倫理観です

あとで要求のレベルを下げるからと極端な頼み事を
してはダメ

これは原理や相手に対するマナー違反


メリットがあると同時にコストもかかる選択肢だとしても
相手にとって有益ならメリットの高い要求を最初に出す

もし交渉がうまく運べば
相手は最も有利な条件で「イエス」という機会を得る

そのチャンスを与えて断られた時には
ほどほどの要求をすればいい

この時の承諾率は3倍に上がると
実験結果が示している


「ありがとう」の直後についてお話ししましたが
同じく有効なのが
「ノー」と言われた後。

思わずたじろいでしまうような嫌な瞬間
なぜなら自尊心が傷つくから。

私たちは拒否されたくないために
大きな要求を避けようとする。

しかし「ノー」と言われた直後こそ
主導権を握る絶好のチャンス。

もし代替案が用意されているなら
「ノー」と言われたあとすぐに代替案を出すべき
要求が受け入れられる確立が
著しく上がる


2)希少性の原理

「人は手に入らないものを欲しがる」
という心理

こちらの提案を断ることで
どんなデメリットがあり
どんなメリットを得る機会を失うか
ということです

相手が得る権利だけを伝えるのは
正しい戦略ですが、十分とは言えない
断った場合のデメリットも伝えるべき

たとえ同じものでも
得るよりも失うと思った時の方が
人は気持ちを動かされる

人は
希少な商品に引きつけられる
独占的な情報に説得されやすい

相手が身を乗り出してその情報に耳を傾けるのは
価値があるからこそです
もしこうした情報を手にしたら
すぐに行動に出るべき

情報はワインではなく、パンです
古くて冷たいものより新鮮であたたかい方が好まれる


3)権威の原理

人は権威者に対して
「イエス」と言う傾向があり
これはうなずける話

中でも
信頼できるメッセージの伝達者
つまりコミュニケーター
信頼あるコミュニケーターほど
影響力のある者はいない

信頼性の要素として
挙げられるのはまず知識
そして信憑性

相手に影響力を与えたいと思ったら
まず自分の専門知識について
知らせること

誰でもその道のプロに
従いたいと思うから

さらに相手に示したいのは
情報の信憑性

これにより、自分が提供する情報は
誠実で公平であると判断されます

その方法とは?

相手との付き合いが長くなれば
自分が信頼できる情報源で誠実な人間だと
分かってもらえる

付き合いの浅い相手の場合はどうか?
いくら正直で信頼のおける人物でも
相手はそれを知らない
このような場合には
広告業界の戦略が有効になる

彼らは馴染みや実績のない新製品を
市場に紹介するのが仕事

このように信憑性が問題となる場合は
長所を主張する前に、まず弱点や短所
について触れるのです

つまり短所と長所を知り尽くして
正直に伝えているという姿勢を示す
そして長所を主張する時には
信頼できる情報として受け取ってもらえる


4)一貫性の原理

相手から「イエス」を引き出す有効な手段の1つは
こちらの意図する方向へと最初の一歩を踏み出してもらうこと

大きな要求をする場合は
最初に踏み出した一歩と一貫している必要がある

人は自分の言動を一貫したものにしたいと思うから

興味深いのはどんな小さな一歩でも
この最初のコミットメントが効果的だということ

これを踏まえて、相手が自分の方へ一歩を踏み出したら
どのようにしてこの流れを継続させればいいか
私たちは変化を作るだけでなく
その変化を長く持続させる方法を知りたいはず

変化を維持する要素は
能動的かつ公的で自主的なコミットメント

こちらの意図する方へ
誰かを導いたとしても
その変化は相手に十分に定着しない

相手に公的な形で行動させることによって
流れを具体的にして定着させる

一番いいのは、合意した内容を
相手に書き留めてもらうこと

人は書いたことを守ろうとする


5)同調性の原理

自分の振る舞いを決めるのに
他人の行動を参考にすることがある

自分の提供したいものがあって
他の顧客がそれに満足しているなら
彼らを同じ場所に集めるべき
大勢が下した選択を他の人に見せるため

そして、その他大勢だけではなく
本人に似た人物も
影響力を与えるのに効果的

意思決定に迷いがある時は
自分の中に答えを求めるのではなく
他の人の動向を見る

この時、人は自分と似ている人や
似た環境にある人を参考にしようとする

従って第3者からの推奨を
誇示してはいけない

相手が自分と同じ境遇であると
感じれる顧客の事例をださないとダメ


6)好意の原理

好意を感じる相手に「イエス」という
傾向があるのは明白

まず私たちが好意を感じるのは
自分と類似性を持つ人

また相手への称賛や
共通の目標への協力は
相手に対する好意を高める

まずは似ていいる人への
好意について

人はとってつけたようなお世辞も
心からの称賛も同様に信じる

この心理につけ込もうとするのが
「密輸入タイプ」の戦法

しかしこのアプローチは致命的な損失をもたらす

例えば私が影響力の武器を使って
あなたを動かしたいとする
そしてある共通点をでっちあげたとする
これでは共通点を見つける機会が失われ
自分から好意をもったり、相手に好かれる
きっかけがなくなる

そしてもしお世辞をでっちあげたら
真に称賛すべき点をみつける機会を失う

その結果、相手に好意を持ちにくくなる

「好意」の原理を使って相手から承諾を得ようとする場合に
最も重要なポイントがある

こちらが好意を持っていると
相手に気づいてもらうこと

つまり好かれようとそれほど努力する必要はなく
自分の好意を相手に示すこと

これにより相手はガードを下げ
こちらの提案を受け入れようとする
しかもこれは相手を思った提案なので
全員にメリットがある



■「協力の法則」について

これはお互いへの好意に
いかに作用するか

私たちが好意を感じるのは
共通の目的に向かって協力し合う相手

そして忘れがちなのが
敵対している相手とも常に目的を
共有しているということ

「刑事タイプ」のように
これを引き出さねばない

顧客とのやりとりの中で
「協力」という概念を相手に気づかせることが
大事です

一件別の方向に見えても
目的は同じ



同じ理由で6つの原理を
使えないときがあるかもしれません

ついカッとなったり
状況に飲み込まれた時には
この原理を研究している私でも
頭が真っ白になってしまうのです

あまりにも情報が多いからです

影響量が試される状況では
瞬発力が大切です

効果的に影響力を発揮したいなら
少し下がってこのカードを見る



■6つの原理は相手の性格によって影響が違う?

確かに6つの原理すべてに全員が反応するわけではない

だからこそいろいろな原理を試してみる

例えば「希少性」や「権威」に
相手が反応しない場合は
それ以外の原理を使ってアプローチをすることができる

性格に関して言えば
相手を知ることによって
その人の傾向が分かる

これを踏まえて一般的に当てはまる原理を探す

またある特徴をもった人々が
どのような傾向を持つか
探ってみることもできる

研究によるとその人の生い立ちや
国民性によって原理に対する反応に
違いが見られるというデータがある。

シティバンクで4つの地域の従業員に向けて

「同僚にでかいプロジェクトの手伝いを頼む。
それは自分の仕事に支障をきたすほどのもの。
どういう時にそれを引き受けますか?」

アメリカとカナダとイギリスでは
「最近この相手は自分に何をしてくれたか?」
もし助けてもらったのなら手伝わねばなりません
お返しの義務が生じるから

香港やシンガポール、日本など極東では
「この相手は自分の部署の誰とつながりがあるか?」
とりわけ役員とつながっているか

ここでは「権威」の原理が
最優先される

自分の上司への忠誠心から
関係性のある相手に「イエス」というのです

イタリアやスペイン、ギリシャなど地中海の文化圏と
中南米地域では、次のような回答でした

「この相手は自分の友人とつながりがあるか?」
ここでは「好意」の原理が最優先される

ドイツや北欧諸国はまったく見解が違った
「この組織のルールや規則に従えば
イエスと言うべきか?」

このように相手のバックグラウンドを知ることで
アプローチの仕方を変えることができる

例えば相手の上司とつながりを持つのもそう
幸い、この原理はあらゆる文化で有効です

ただし、どの原理に重きを置くかは
文化によって変わってくる


・無料だったものにお金を払うには
どのような戦略を使うのが効果的か

「希少性」の原理を使うべきでしょう

相手がこちらの提案に乗らないことで
どんなサービスを受けられないか示すことです

無料をエサにしたのではなく
価値があるから課金したのです

そこには他では得られないような独自性があり
だからこそ価値のある取引になります
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